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印刷経営研究所のブログ

2026.01.23

2025印刷会社経営実態調査

印刷経営研究所(名古屋市、代表:豊田礼人)では、2025年10月から12月にかけて、印刷会社の経営実態を把握することを目的としたアンケート調査を実施しました。
本調査には全国の印刷会社51社から回答を得ており、売上高や収益性の状況に加え、新規事業への取り組み、DX、人材育成など、経営全般にわたる実態が明らかになっています。

本ページでは、これらの調査結果を集計・分析し、印刷業界を取り巻く現状および企業経営の動向について、客観的なデータに基づき報告します。
あわせて、経営指標や各種取り組みの実施状況から見える特徴についても整理し、今後の経営判断に資する情報として提供します。

今回の調査に回答した企業51社のうち、社員数でみると70人以上の企業の割合は33%、30人~70人が31%、30人未満が35%だった。売上高でみると、10億円以上の会社の割合は35%、5億~10億円が29%、5億円未満は35%であった。

【質問】売上高は直前期と比べて何%増えていますか?

直近の売上高前年対比では、「マイナス」の企業が43.1%と厳しい状況もある一方、「0~5%未満」が23.5%、「5~7%未満」が19.6%、「7~10%未満」が7.8%、「10%以上が5.9%」と、一定の成長を維持している企業も見られる。

【質問】直近期の営業利益率は約何%ですか?

直近の営業利益率は「1%未満」31%、「1~5%未満」35%と低収益が中心だが、「7~10%未満」の企業が13.7%、「10%以上」も7.8%存在する。高収益を実現する企業が確実に存在することが見てとれる。

【質問】経営計画書を作っていますか?

経営計画書の作成状況では、毎年作成する企業が62.7%と過半数を占める一方、作ったことがない企業は17.6%、以前は作っていたが現在は作っていない企業と3~5年に一度作る企業はそれぞれ9.8%となった。

【分析/考察】経営計画書を作ることと業績(売上、利益率)の関連性はあるのか?

 経営計画を作成している企業群のうち、前年比5%以上の成長を達成している企業の割合が43%、7%以上の成長も18.9%と、計画を作っていない企業(同7%、0%)より明らかに高くなっている。一方、計画を作っていない企業群のうち、売上がマイナスだった企業の割合が50%と高く、7%以上成長している企業はゼロとなっている。

→計画の作成が企業成長に良い影響を与えている可能性がある。

 営業利益(収益性)の面でも同様の傾向がある。経営計画を作成している企業群のうち、営業利益率5%以上の企業の割合が37.8%、7%以上が27%と、作っていない企業のそれぞれ7.1%、21%に比べて高い水準となっている。

→計画の作成が利益率の向上に良い影響を与えている可能性がある。

【質問】新規事業をやっていますか?

「印刷関連」の新規事業を行っている企業は41.2%、「非印刷関連」の新規事業を行っている企業は13.7%、「両方行っている」のは17.6%、「以前は行っていたが現在はやっていない」企業は5.9%、「行っていない」企業は21.6%となった。全体の約8割の会社が何らかの新規事業に取り組んでいる。

【分析/考察】新規事業をやることと業績(売上、利益率)の関連性はあるのか?

①新規事業をやっていない会社
 ・売上がマイナスの企業の割合は28.6%と比較的少なく、売上0~5%増が42.9%、5%以  
  上増も28.6%。
 →安定しているが、大きく伸びている企業は少ない。

②新規事業をやっている会社
 ・売上がマイナスの企業の割合は48.6%と高く、売上0~5%増は16.2%。一方で売上5%
  以上増が35%、7%以上増も16.2%と伸びる企業も存在する。
 →新規事業にはリスク(下振れ)がある一方、成長の可能性(上振れ)もあると推測。

③新規事業の種類別
 印刷関連のみ:売上マイナスの企業の割合は42.9%、売上7%以上増えた企業の割合は14.3%
 非印刷関連のみ:売上マイナスの企業の割合は71.4%、売上7%以上増は14.3%
 印刷・非印刷両方:売上マイナスの企業の割合は44.4%、売上7%以上増は22.2%

→ 非印刷分野の新規事業は失敗リスクが高いが、複数分野に挑戦する企業は高い成長率の可能性も。

①新規事業をやっていない会社
 営業利益率5%以上の企業の割合は42.9%、同7%以上は28.6%と
 なっている。

②新規事業をやっている会社
 営業利益率5%以上の企業の割合は37.8%、同7%以上27%と
 なっている

→ 新規事業の有無による営業利益率(収益性・本業の儲ける力)の差は見られない。

【質問】どんな新規事業をやっていますか?

質問】その新規事業の進捗は今、どんな状態でしょうか??

新規事業の進捗では、「まだまだこれから」とする企業が73%と大半を占め、立ち上げ段階の難しさが浮き彫りになった。一方で、16.2%はすでに軌道に乗っており、成功事例も確実に存在する。撤退検討は2.7%と少数で、多くの会社が挑戦を続けている。

【質問】社員教育をやっていますか?

社員教育では、「積極的」が17.6%にとどまり、「それなりに」が51%と多数を占める点が特徴的だった。対して「ほとんど取り組んでいない」「まったく取り組んでいない」の消極派が合わせて31.3%あり、企業間で取り組み姿勢にばらつきが見られる結果となった。

【分析/考察】社員教育と業績(売上、利益率)の関連性はあるのか?

①社員教育に取り組んでいない企業群のうち、売上がマイナスだった企業の割合は43.4%
 社員教育に取り組んでいる企業群のうち、売上がマイナスだった企業の割合は42.9%

→ 売上が落ちている企業の割合に大きな差は見られず、“教育=短期的に売上が伸びる”という構造ではないことが示唆される。

②教育に積極的に取り組んでいる企業群のうち、売上がマイナスだった企業の割合は66.7%と高め。

→目的をもって教育に投資する企業は、改革期や変化期にあることが多く、短期では売上が落ちる可能性も。逆に言えば、教育は“変革の途中段階”では短期的に成果が数字に出にくいとも言える。

①社員教育に取り組んでいない企業群のうち、
 営業利益率5%以上の企業の割合は25%だった。

②社員教育に取り組んでいる企業群のうち、
 営業利益率5%以上の企業の割合は37.1%だった。
 また積極的に取り組んでいる企業群のうち、
 営業利益率5%以上の企業の割合は44.4%であった。

→ 社員教育に取り組むほど、収益性は高まる傾向がある。
 売上ではなく、利益率(体質の強さ)に効果が出る点が最重要ポイント。

【質問】どんな社員教育をやっていますか?(複数回答)

【質問】DXに取り組んでいますか?

DXに「積極的」に取り組む企業は15.7%にとどまり、「それなり」が45.1%と多数派だった。一方で、約4割の企業は十分に取り組めていない状況が確認できる。全体として、DXは関心は高いものの、実行度にはばらつきがある。

【分析/考察】DXへの取り組みと業績(売上、利益率)の関連性はあるのか?

①DXに取り組んでいる企業群のうち売上マイナスの企業の割合は45%。
 DXに取り組んでいない企業群のうち売上マイナスの企業の割合は40%。

 →これを見る限り「DXしているか・いないか」だけで比べると、大きな差は出ていない。

②積極的にDXに取り組んでいる企業群のうち、売上が7%以上増加した企業の割合が37.5%である 
 のに対し、DXに取り組んでいない企業群のうち、売上が7%以上増加した企業は5%にとどまる。

 →本気でDXを進めた企業は“上振れ幅”が大きい傾向がある。

①DXに取り組んでいる企業群のうち営業利益率5%以上の企業の割合は29%。
 DXに取り組んでいない企業群のうち営業利益率5%以上の企業の割合は40%。

 →「DXしているか・いないか」だけで比べると、利益面のでの効果は見えていない。

②積極的にDXに取り組んでいる企業群のうち、
 営業利益率が7%以上の企業の割合は37.5%あるのに対し、
 DXに取り組んでいない企業群のうち、
 営業利益率が7%以上の企業の割合は5%にとどまる。

 →「積極DX」は収益性に強い効果があると推測できる。デジタル化による効率化・ミス削減・可視化  
  などが利益改善につながっている可能性がある。

【質問】どんなDXに取り組んでいますか?(複数回答)

【DX取り組み内容について】
 生産管理システムの導入が最も多く、業務効率化へのニーズが強いことがうかがえる。次いでSFA・CRMなど営業・マーケティング系の強化、Web to Printなど受発注のオンライン化も一定の広がりがある。見積や価格シミュレーションの導入も進み、現場と営業の両面でDXが具体的に活用され始めている。

【質問】印刷会社経営においての課題や不安・不満について教えてください

※PDF版を資料請求して頂くとご覧になれます。

 今回の調査結果から、印刷関連企業の現状と課題、そして成長のための示唆が多面的に浮かび上がった。
 まず企業規模を見ると、社員数・売上高ともに「大中小がバランス良く分布」しており、幅広い層から回答を得ることができた。

 直近の売上動向では、前年比マイナスの企業が43.1%と厳しい環境下にある一方、約3割の企業が5%以上の成長を維持している。また営業利益率は「1~5%未満」が最多で、低収益構造が一般的であるものの、「7%以上」の高収益企業も2割程度存在し、改善の余地がまだまだあることが示唆される。

 経営計画書については、毎年作成する企業が62.7%と多数であり、また、経営計画を作成していることと業績向上には一定の相関が見られた。計画を作ることで投資判断の精度が高まり、コスト認識や優先順位の整理が進み、無駄が減ることが背景にあると推測した。また、売上・利益ともに“上振れ幅が大きくなる”可能性が高い点は注目すべきだと感じた。

 新規事業に関しては、約8割の企業が何らかの形で取り組んでおり、印刷関連・非印刷領域ともに挑戦が進んでいる。進捗は「まだまだこれから」が73%と立ち上げの困難さが際立つが、16.2%は軌道に乗せており成功例も確実に存在する。リスクはあるものの、新規事業は企業の売上ポテンシャルを大きく広げる手段として一定の成果を生み、機能していると言える。

 社員教育への取り組みについては「それなりに(取り組んでいる)」が過半を占め、「積極的」は17.6%にとどまった。教育は短期の売上には直結しないが、営業利益率とは有意な関連を持つ可能性が見て取れ、長期的な体質改善に寄与する「筋肉質化のための投資」と捉える必要があることを確認した。

 DXについては関心こそ高いものの、積極的に取り組んでいる企業は15.7%にとどまった。しかし「積極的DX企業」の売上・利益の伸びが顕著であり、部分的(あるいは消極的)なデジタル化では成果は限定的であることが示唆された。生産管理、SFA・CRM、Web to Print、見積・価格シミュレーションなど、具体的なツール導入は進みつつあるが、本質的な変革には、企業のビジョンや長期戦略に基づいた投資・教育・仕組みづくりが不可欠である。その意味で、これらを含めた経営戦略をどう描き、計画にまとめて実行できるかが鍵になりそう。

 総じて、経営計画・新規事業・社員教育・DXは相互に関連しながら企業の成長余地を広げ、取り組みの積極さや深さ、あるいは継続的な取り組み度合いが成果の差を生み出していると推測する。

※尚、本調査は51社の企業からの回答によって集計されており、サンプル数が限定的であることから、この結果を持ってすべてを結論づけることはできません。あくまでも「参考値」としてご活用して頂くようお願い申し上げます。

(調査実施日)2025年10月1日~2025年11月30日 51社から回答を得た
(調査方法)インターネット、郵送及びFAXによる自己記入方式 

以上の調査結果をA4判10ページのPDFでお読みいただけます。

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