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印刷経営研究所のブログ

2019.11.01

受注型一辺倒では儲からない

他社にはない特長は何か?

印刷という技術(あるいはサービス)が特別ではなくなった今、印刷会社はどうすれば良いか。

今こそ、あなたの会社を「特別な会社」にする時です。

あなたの会社を、お客様にとって「なくてはならない存在」「ユニークな存在」にするのです。そうしなければ生き残ることは難しい時代です。利益を出すために、お客様にとって特別な印刷会社になる、ということです。

本来、印刷会社に限らず、会社が存続していくためには、他社にはない特長を持たねばなりません。これは企業経営の原理原則です。

しかし、かつての高度成長期の日本のような需要が旺盛な世の中においては、特別な会社でなくても利益を生み出すことができました。需要が供給を上回っていたので、差別化できていない、特長のない会社でも存在が許され、そして稼げたのです。

こういう時代が続くと、「自社をお客様にとって特別な存在にしなければならない」という原理原則が忘れ去られます。人間はつい「今まで良かったのだから、この先もこのまま何とかなる」と根拠もなく信じてしまうものです。

このマインドのまま需要が激減し供給過多になると、環境変化に対応できずたちまち苦境に陥り、対処できなくなります。今、多くの印刷会社はこの状態にあります。みんな気づいているのですが、実際に変化するための行動を起こしている企業はごくわずかです。

左脳型から右脳型へ

今まで印刷会社は左脳型で仕事をしてきました。しかし、これからは右脳的な考え方や行動を取り入れていく必要があります。

いきなり脳の話をしましたが、どういうことか、説明します。

そもそも脳は右脳と左脳に分かれていて、左脳は逐次的、論理的、そして分析的に情報を処理します。一方右脳は非直線的で、直観的、本能的、そして包括的、全体的に機能します。このことは皆さんも耳にしたことがあると思います。(参考:「ハイ・コンセプト」ダニエル・ピンク著)

一般的に左脳型の人は論理的でまじめ、右脳型の人は直感的で天然、と言われます。

印刷会社は、顧客から依頼された仕事を、依頼された通りに、間違いなく作ることを要求されて、それに応えてきました。きちんとスケジュールを組み、設備を整え、仕様書どおりに作り上げ、指定の場所に指定の日までに届ける。論理的に、分析的に情報を処理し、機械的に実行してきました。

つまり、左脳的に仕事を処理してきたのです。

また印刷会社の仕事の仕方は、部分的でもありました。顧客が解決したいことの全体像を把握することなく、ただ依頼された印刷物を間違いなく作って納めることを第一の目的としていたのです。

例えばチラシを作ったときに、要求されたスペック(仕様)通りにつくることにはとことんまじめに取り組みますが、そのチラシを使ってどのように顧客の売上や集客数を上げるのかというところに関しては無頓着でした。部分的・逐次的に、つまり左脳的に仕事を処理することを第一とし、「包括的、全体的な視点で顧客の問題を解決する」という右脳的なアプローチはあまりされてこなかったように思います。クライアント側もそれを要求してきませんでした。

私は11年間印刷会社で営業の仕事をしていましたが、まさに左脳型に仕事を「処理」していました。顧客の問題を解決するというよりは、依頼された仕事を間違えないようこなすことに終始していました。今になって振り返り、とても反省しています。

「受注型」と「見込型」の違いとは?

受注型のビジネスモデルをとっている会社は、多かれ少なかれ、左脳的な仕事の仕方をしています。私が拠点にしている愛知県は製造業のまちで、中小の製造会社がたくさん存在しますが、その多くは大手企業を頂点とする下請け構造に組み込まれ、同じような左脳的パラダイム(行動様式)に陥っています。

受注型のビジネスでは、製品の仕様も数量も納期も、さらには価格さえも、全て発注先の意向に従います。基本的に主導権が発注側にあり、従属的な関係を強いられます。それに異を唱えることは仕事を失うことに直結します。

価格さえも自社で決められないので、利益も出にくい。それどころか、「来月から発注をストップしますから」と言われて、売上が一瞬でゼロになるリスクに常におびえながら仕事をすることになります。だから値上げの要求などできるはずもありません。

しかし、これらを受け入れても余りあるメリットが、受注型ビジネスにはありました。

まず、在庫のリスクが小さい。基本的には発注(契約)されてから材料を仕入れれば良いし、作った製品は全て発注者が買ってくれます。見込み生産のように、作ったけれども売れ残って在庫の山ができた、ということはありません。

また、一度取引が始まると、長期間に渡って売り上げが見込めるので経営が安定します。営業マンは、間違いなく仕事を回すことに専念すれば、売上を作ることができます。特に企画力や提案力を求められることも、訓練された高いコミュニケーション力を必要とされることもありません。

印刷会社は典型的に受注型のビジネスモデルなので、上記のような左脳型のパラダイムで仕事をしている会社が多く、デメリットを覆って余りあるメリットを享受してきたのです。

しかし、状況は変わり、需要減少と競争激化に直面することになった今、左脳型では利益を得ることができなくなりました。

受注型ビジネスに、見込型ビジネスを取り入れる

一方で、見込型とは、自社でリスクを背負って「自社商品」を開発・製造し、販売していくやり方です。

例えば、コンビニに並んでいる商品は大半が見込型で作られた商品です。需要予測をもとに生産され、お店の棚に並べられます。売れれば儲かりますが、売れなければ在庫となり、いずれ返品か廃棄処分されます。家電量販店や衣料品店に並んでいる商品もみな基本的には見込型の商品です。

印刷会社がリボーンするために、従来のような受注型一辺倒ではなく、見込型のビジネスを自社に取り入れていくことが重要な第一歩となります。

なぜかというと、自社商品を「見える形」にして、儲かるように価格をつけて、自ら販売戦略を立てて売っていくことが、利益が出るビジネスを構築する上で極めて重要だからです。価格は、利益に決定的な影響を与えます。この価格を自分たちで決めて販売するということをせずに儲けることはとても難しいと思います。

ですから、印刷業界の従来のやり方にこだわらず、他業界に目を凝らし、見込型のビジネスに関する研究をする必要があります。

それらと自分たちのビジネスを組み合わせて、自社ならではの商品を生み出し、ビジネスモデルを構築していくことが、これから印刷会社に求められることは間違いありません。

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