まず、「待ち」と「重複」を無くす
印刷物の発注単位は小ロット化していますので、工場の生産性を上げるためにはいかにロットからロットへの段取り替えの時間を短縮化するかが問われます。
機械などの固定資産は、できるだけ休み無く動かすことが重要です。そのためには、段取り変え時間の短縮目標を設定し、それを達成するために作業手順を一つ一つ要素分解して検討していく必要があります。モノや機械を置く位置や、作業員が歩く距離などを見直し、最も効率よく作業が行なえるように組みなおすのです。
また、遊んでいる人がいないように、手が空いている人が機動的に忙しい部門へヘルプに入れるような「機動的生産体制」をつくることも重要です。
これをやるためには、今日の仕事の中で、どの部門・どの機械の負荷が高まる可能性があるのかをあらかじめ知っておく必要があります。同様に、どのスタッフがどのタイミングで手が空きそうなのかを把握する必要があります。これをITシステムで管理して、リアルタイムで人・機械・仕事の状況が分かるようにし、機動的に人員の配置を変えている企業もあります。これができると、人の無駄(待ち)と機械の無駄(待ち)を減らし、効率的に仕事を進めることができます。
資金的にITシステム化が難しかったり、それほど大きな工場でなければ、朝のミーティングで確認したり、作業の途中で声を掛け合うことをルール化すれば、IT化していなくても同様の効果は得られます。
また、この機動的生産体制を実行するためには、「多能工化」が必要です。つまり、一人の社員が様々な機械を動かしたり、様々な仕事を担当できるようになることです。自分ができることだけをやり、他の仕事については知りません、ということでは、いつまでたっても会社の生産性は上がりません。
生産性を上げるポイントは、「待ち」を無くし、「重複」を無くすことです。
日頃「当たり前」とか「常識」と思っていたことも、もう一度見直してみる必要があります。そこまでやるか、と言われるくらい改善をしていかないと、競合するライバル社には勝てません。是非、社員さんと知恵を出し合い、常識を覆す意気込みで取り組んでみてください。
生産性の低さの原因はコミュニケーション不足
社内の知恵を集結させるためには、営業と印刷現場とで定期的にミーティングすることも必要です。印刷会社のみならず、営業部門と製造部門との間は仲が悪いことがしばしば見受けられますが、その主たる原因はコミュニケーション不足によるものです。
営業マンはお客様のために早く納品したいと思い、工場はお客様のためにしっかりとした品質のものを作りたいと思っている。それぞれの思うことはそれぞれの立場によって微妙に異なるのですが、全てはお客様を喜ばすためという意思を常に確認しあうことで考え方のギャップは埋められるはずです。
生産性を悪化させる最たるものは「刷り直し」「やり直し」です。これらも、コミュニケーションの風通しをよくすることで、相当の割合で減らせるはずです。
自分たちの会社の業績アップを阻んでいるのが「コミュニケーション不足」でだとは、なんとももったいない話です。
現場レベルで、一人一人の心がけを変えるだけで、業績が上がり、給料が上がる可能性がありるわけです。これをやらないのは本当にもったいない。
このもったいなさを全社レベルで解消するのが経営者やリーダーの仕事です。そのために、経営者やマネジャーがリーダーシップを発揮し、メンバーを理念のもとにまとめ上げていくことがとても重要になります。
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