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印刷経営研究所のブログ

2020.02.07

印刷会社は未来をどう切り開く?

紙は、ほぼゼロになるのか?

印刷市場は縮小しています。各種統計を見るまでもなく、自分の周りを見渡せば、紙の活躍する場が減っていることは明らかです。


市場が縮小していくにつれ、事業を維持できず、破綻する印刷会社が増えています。この流れは今後も続くと言えるでしょう。


いわば、現在の印刷市場はプレイヤーが多すぎる状態です。この「需要に対して供給者が多すぎる状態」が、今後ますます顕著化していくのは間違いありません。


では、このままかつての写真フィルムやレコード針のように市場が「ほぼゼロ」状態にまで縮み続けるのかというと、これは分かりません。そうなるかもしれないし、そうならないかもしれません。いずれにしろ、これを予測することにあまり意味はありません。なぜなら、未来予測というのは常に外れるからです。これは歴史が証明しています。ただ、印刷需要が減少する潮の流れはしばらく収まらない前提で経営の舵取りをした方が良いのは間違いないでしょう。経営者は常に最悪の事態を想定して戦略を検討することが求められます。


印刷会社の経営層と話しているときに、半分冗談・半分本気で、格安の印刷通販業態で業績を拡大している会社を指し、「彼らさえいなければ経営はもっと楽なのに」という声をたびたび聴きます。


印刷市場の縮小に加えて、業界の価格を破壊する大手印刷通販事業者に恨み節を言いたくなる気持ちは分かりますが、「他社が失敗することを願う」マインドで会社経営をすることは「負け犬」への道を突き進みます。会社は経営者が考えていることを如実に反映する鏡です。経営者の考えが会社の雰囲気を作り、風土となって定着してしまいます。ですから、「負け犬」の考え方を持つことは慎まなければなりません。経営者は、縮小していく印刷市場を見据え、その中で当社は何を武器にどの方向へ進むべきか、について前を向いて考えなければいけません。

「減らすこと、やめること」を決める

話を戻しましょう。市場が縮小局面にある業界で、経営の舵取りをするのは極めて難しいと思います。なぜなら、何かを減らす決断を強いられるからです。市場が拡大しているときは、人もお金も設備も、足りないものは拡大する市場を担保に調達することができました。縮小局面ではこれが難しくなります。


本来であれば、需要に対して供給が過剰であるならば、リストラクチャリング(事業の再構築)する必要性が出てきます。市場の規模感に自社の規模感を合わせ、コストをカットすることで利益を確保し、生き残りを図るわけです。しかし、人間は「増やすこと・加えること」は比較的簡単に行いますが、「減らすこと・やめること」は苦手です。特に日本では労働者保護の観点から、人を減らすことへの抵抗がものすごく強く、このことが経営の舵取りをさらに難しくさせています。


市場が縮小していくならば、そこで事業を行うプレイヤーの数も減っていく方向で市場原理が働きます。そして、市場縮小の最終局面まで、生き残れるかどうかが、現在の印刷会社の最重要のテーマとなります。(これは、印刷市場がどこかで下げ止まると仮定していますが、下げ止まらない可能性ももちろんあります)


じゃあ、そこまで踏ん張るために何をするかというと、一言でいうと、「事業の規模を適正に修正しながら、利益が稼げる新規事業に投資を続ける」ということです。

適正規模化と新規事業の育成はマスト

まず、「適正規模」に修正してくために、会社内にある無駄を省いていかなければなりません。生産、制作、営業の各部門で効率化を進め、事業体を筋肉質に変えなければなりません。これから来る生き残りのための競争に備え、「走れる体」を作っておく必要があります。そのために、ITや機械の力を借りることも積極的に行わなければなりません。ベストプラクティスのために「マニュアル化」することも必要です。


新規事業に関しては、紙とデジタルとの融合、顧客のプロモーションへの全体的な関わり、コンサルティング的なアプローチ、業種特化型の事業展開など、いろいろな可能性はあると思いますが、何をやるかはその会社ごとに異なるでしょう。重要なポイントは、その会社が持つ特有の強みや特長を生かした「自社らしい新規事業」をしなければ、実のある事業とはならないということです。


印刷会社が総じて「これはいい!」と思う新規事業など無いし、仮にあったとして、皆がその市場に参入すればたちまち「プレイヤーが多すぎる」状態になり、とても利益が出せる状態にはなりません。やはり「自社らしさ」を生かした事業を構想しなければなりません。デジタル事業に進出することも一つの選択肢ですが、デジタルの世界にはそれを専業とするプレイヤーがひしめいており、簡単に利益が出せる分野ではありません。やはり、自社の強みと組み合わせた何かを創り出さなければなりません。


また、顧客とともに開発し、完成した暁には契約・販売させてもらう、という「用途開発型」の新規事業のやり方もあります。既存顧客との結びつきを活用し、その顧客が求めるものを共に開発していく方法です。明確なニーズを起点に事業化するので、売上を見込みやすいのがメリットです。何より、開発後に買ってくれる顧客が既にいるので、これほど確実な方法はありません。


あるいは、現事業のサプライチェーンの上流、あるいは下流に目を向け、事業化していくやり方もあるでしょう。上流ならば戦略や企画に関わる領域の事業化だし、下流ならば、発送や物流の領域でのビジネスチャンスを探ることになります。サプライチェーンの中間に関するアイデアもあるかもしれません。

印刷事業以外の何か

現在、印刷会社の多くは2代目から3代目の経営者が継いでいるケースが多いでしょう。先代から事業を引き継いだ「後継社長」の最も大きな弱点は、創業社長と比べ、自分で新たなビジネスを創り出した経験と成功体験が圧倒的に少ない、ということです。


ですので、先代から継いだ会社が好調のときは良いのですが、現在のように市場が縮小局面に入った時に、思考がストップし、取るべき戦略と行動の引き出しに乏しいのです。この引き出しを増やすことを、経営者は常に意識し、行動を積み重ねておかなければなりません。


このさき「我が社は何を目指し、どんな事業をすれば良いのか?」という問題について、絶対的な正解を出せる人は一人もいないでしょう。ただ一つ言えることは、2代目(あるいは3代目)の印刷経営者は、「印刷事業以外の何か」を創り出さなければ、今後生き残ることは難しいということです。もし、新たな事業を創り出せれば、それで稼ぎながら会社を維持し、印刷市場の縮小が止まった時に、印刷事業において残存者利益を享受できるでしょう。

悩むな、考えろ

経営者は、自社の将来的な方向性について考え続けなければなりません。「売り上げが減っている。どうしよう?」と悩むのではなく、「売上が減っている。今後、何を武器に、いかに闘うか?」について考えるのです。「悩む」は同じところをグルグル回るだけ。「考える」ということは、「答えはあるはず」とコミットし、あれこれ試しながら、トライ&エラーを繰り返す過程で思案することです。悩んでいるということは進歩がありません。考えるということは試すということです。試すから、いろいろと見えてくるわけです。「悩むな。考えろ」です。


経営者の最も重要な役割は、限りある経営資源(ヒト・モノ・カネ)を、どう振り分けるかについて意思決定することです。中でも、新たな収益の柱を創るために、何に投資するか?を決めることは最上級に重要なことです。この投資とは、「試す」ことでもあります。大量に試して、うまくいったものを残す、というスタンスで投資し続けることを、後継経営者は強く意識しなければなりません。


大手企業を引き合いに出すまでもなく、成功している企業は「試している企業」です。中小企業庁(中小企業白書)の調査でも、経常利益率・自己資本比率ともに良好な「稼げる企業」の特長は、投資に積極的であることだと報告されています。

まとめ


2代目(3代目)の印刷会社の経営者は、「印刷事業以外の何か」を事業として創り出さなければなりません。その際、やみくもに手を出すのではなく、自社の強みや特長の活用、既存顧客とのパイプの活用、現事業のサプライチェーンの一部分を強化、等を考慮して方向性を決め、投資し続けることが重要になります。大量に試して、うまくいく事業を見つけ出せた印刷会社が、最終的に生き残る会社です。それはつまり、世の中に必要とされている会社になれた、ということです。

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