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印刷経営研究所のブログ

2020.02.28

生き残る印刷会社の条件とは?(PAGE2020に行ってきた)


PAGE2020に行って来ました。


基調講演を拝聴し、そこから私が感じた「印刷会社が生き残る条件」などについてまとめてみたいと思います。

※基調講演には、花井秀勝氏(フュージョン)、岡本幸憲氏(グーフ)、本間充氏(アビームコンサルティング)が登壇されました。

印刷会社はマーケティング会社になる

まず今回のテーマが「デジタル×紙×マーケティング」ということで、マーケティング分野の話がほぼ全てで、マーケティング関連以外の印刷物には言及されませんでした。


マーケティングの面においては、デジタルと紙が融合し、その区分けさえも意味がなくなりつつあるというのが共通理解。顧客に気づいてもらい、顧客を育て、購入を検討してもらい、販売する。その後、リピーターとして買い続けてもらい、LTV(顧客生涯価値)を最大化する。このプロセスで、デジタルが得意なところはデジタルが行い、紙が得意なところは紙が行う、という方向性には、全面的に賛成です。


となると、「デジタルマーケティング」という言葉さえも適切ではなくなり、デジタルと紙・リアルを最適に組み合わせ、顧客の購買プロセス(カスタマージャーニー)に関与していくことが「マーケティング」で、マーケティングの手法の中にデジタルや紙が包含されるという、「そもそも」のところに帰っていくわけですね。ですから、印刷会社は「マーケティング会社」になるべきだ、というメッセージも、普段から私が考えていることと同じで、やっぱりそうですよね、と意を固くしたわけです


そうなると、印刷会社としては、自社の紙のツールだけでなく、デジタルのツールについてもきちんと理解し、それを顧客企業の目的や目標に合わせて組み合わせ、「より良いマーケティング戦略」の構築をトータルでサポートする、というスタンスでいることがめちゃくちゃ重要になる、ということです。 で、それをするためには、自らがWEBサイトをはじめ、SNSやブログ、Youtubeなどを使い倒していく姿勢でいないといけない、ということになりますが、いかがでしょうか。

顧客企業の広告予算はいくらか?

また自らを顧客のマーケティング戦略を支援する立場と捉えるならば、顧客企業の広告予算額を把握することは、大変重要な意味を持ってくると思います。クライアント企業の真の関心ごとは、印刷物をいかに安く買うかではなく、「限りある予算をどう使えば売上目標が達成できるのか?」ということです。だからデジタル・紙・リアルの予算の配分について、印刷会社が提案したりアドバイスしたりできるようになって欲しいのです。


つまり広告予算全体の使い方について相談に乗り、一緒に考えてくれる存在になることが、これからの印刷会社の一つの目標になり、そうすれば、印刷物の価格が高い・安いという基準で話をされることがなくなります。デジタルが適切なところはデジタルを使い、紙が適切なところは紙を使う。


また、イベントなどの体験型のプロモーションが適切ならばそれらを実施する。これらについて顧客の戦略的なパートナーとしてディスカッションできる存在になることを目指したい。簡単にできることではありませんが、得られる果実も大きいので、印刷会社として本当に重要なテーマになると思います。

紙が生きるシーンとは

デジタル化が進む世の中で、どんなシーンで紙を使うのが適切なのか、ということも考えていかなければなりません。


まず、顧客に広く周知するという部分に関しては、紙の出番は今後ますます減っていくでしょう。「広く、多くの人に」というマーケティングプロモーションに関しては、チラシよりもデジタルの方が圧倒的に低コストです。また、「誰でもいいからできるだけ多くの人に」というマーケティングは今日では成り立ちにくく、よりターゲットを絞った集中型プロモーションが必要となる現代では、デジタルによる「ターゲティング広告」が有利になることは間違いないでしょう。


一方で、休眠している「休眠客」を呼び覚ます際には紙のDMが効果的な場合があります。休眠客にいくらEメールやアプリのプッシュ通知を送ってもなかなか目覚めませんが、紙のDMが目の前に現れると、それを自然な形で手に取り、再購入のきっかけになることがあります。


また、実際に商品やサービスを購入した顧客に対し、ブランドの世界観を伝えるための、丁寧に作りこまれた紙のパンフレットやカタログを渡すと、ブランドに対する愛顧(ロイヤルティ)が高まるという期待があります。

「保管したくなる」印刷物


PAGE2020の講演では「捨てられない印刷物」や「保管したくなる印刷物」には、今後も需要はあると報告されていました。つまり、「ここぞ」という場面で、手の込んだ印刷物が機能するということです。その意味で、富裕層向けのマーケティング活動においては、印刷物の存在感は高まっていく、というのが講師陣の共通する主張でした。


確かに、私の知り合いがロレックスで時計を購入したとき、素敵な箱に入った分厚いカタログを手渡されたそうです。その知り合いは嬉しくて、毎晩そのカタログを眺めているそうです。これは紙でしかできないブランディング活動です。


こういうことも含め、「紙の本質」について徹底的に研究しておくことも、印刷会社にとって重要になります。例えば、紙の良さは網羅(もうら)性にあります。全体図を俯瞰するには、スマホの地図より、紙の大きな地図の方が見やすいですし、一冊の本の全体像を把握するためには、電子書籍より、紙の本の方がやりやすいでしょう。一方で、たくさんあるものの中から一つを探し出す「検索性」においてはデジタルが圧倒的に有利です。また「持ち運ぶ」という面でもデジタルの利便性は高いでしょう。こういうことを考えながら、カスタマージャーニーの各場面において、紙にしかできないことや紙の優位性を追求していくことは、印刷会社の使命と言えるでしょう。

体験型の「コト」を組み合わせる

また、最近はモノ消費よりもコト消費が重要視されており、「体験型」のプロモーションも注目を浴びています。キューピーやカゴメなど食品製造系の会社がユーザーを招いて「工場見学」を開催したり、子供向けの商品を販売する企業が、子供向け教育プログラムを実施したりしています。グリコは子どもたちのプログラミング教育の力になるため、おいしいおかしを食べながら楽しく遊び、学ぶことができる「GLICODE®(グリコード)」を開発するという活動を行っています。


こういう体験型の「コト」を実施する際にも、紙の出番があるでしょう。リアルの場ではその場で手渡せる「紙」がやはり便利です。集客はデジタルで行い、リアルの現場では紙やのぼりなどの物体が強かったりします。こういう場面でも、デジタル・紙・リアルをどのように組み合わせて体験型イベントを行えば、顧客満足が最大化するのか、もしくは売上増につながるのかについて、顧客とディスカッションできる存在になることが、印刷会社の目指すところとなります。


以上、基調講演の内容からの抜粋と、それに関して私自身が感じたことをまとめました。これからの印刷会社の在り方についてはいろんな考え方があると思いますが、ひとつの参考にして頂ければと思います。

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