自社をリ・デザインする
印刷会社は顧客のブランディングやプロモーション活動に不可欠な「デザイン」に関わり、デザインに身近な存在であるにもかかわらず、自らのデザインに関しては無頓着だったと言わざるを得ません。
自社のロゴマーク、名刺、会社案内、ホームページなどのデザインについて、こだわって作っている印刷会社は、割合として少数派ではないでしょうか。だとしたら、自社のデザインにこだわることで、他社から抜きん出られる可能性があります。
デザインの重要性を顧客に説く立場の印刷会社が、自社のデザインに無頓着ではいけません。言っていることとやっていることが違う、「不誠実」な会社と判断されてしまいます。
一度、自社のＣＩ（コーポレーション・アイデンティティ）、ＶＩ（ヴィジュアル・アイデンティティ）について、社内で話し合ってみると良いでしょう。
ＣＩ、ＶＩとは何か？それを実施するためのポイントはどんなことで、どこに目標を置き、どんなステップで進めればよいのか。
これらについて話し合い、自社を題材に実際にやってみてはいかがでしょうか。ＣＩ、ＶＩという分野は、印刷会社に関わりが強い分野です。ここを自ら実践し、やってみることでコツやポイントをつかみ、それをノウハウとして顧客に提供していく印刷会社が、「言う」と「やる」一致している「誠実な会社」ということになります。これを「わからないから」とか「売上に直結しないから」といって敬遠するのか、それとも「確かにそうだ」と捉えて実際にやってみるかで、5年後10年後に大きな差となって現れることになります。
自前にこだわらない
印刷会社の中には自前でデザイナーを抱えている場合があります。自社のＣＩやＶＩを実施する際に、自社内のデザイナーを育てる意味で、自社内デザイナーに担当させることはもちろん良いことですが、一度外部のデザイナーを活用して、どのようなアプローチをするのかを学ばせてもらう機会とするのも良いと思います。
外部のデザイナーの中には、ＣＩを専門に行っているプロフェッショナルなデザイナーがいて、その仕事の仕方はとても参考になります。自前にこだわるよりも、より良い解を導きだすためには、外部の力を活用するスキルも伸ばす必要があります。同時に、社内のデザイナーと競わすことで、デザイナーのスキルを磨くことにもつながります。
印刷会社に限らずデザイン会社にもよく見られることですが、自前制作にこだわるあまり、例えば自社のＷＥＢサイトのリニューアルが一向に進まず、古いサイトのまま数年間放置されていることがあります。
これは顧客をみすみす逃すことになります。せっかく自社のサイトを訪問してくれた見込み客が、そのデザインの古さと更新がストップされている状況を見て、問い合わせをするのをやめてしまっていることは十分考えられます。
自分の会社でこういう機会損失が起こっていると思うとゾッとしますが、なぜか放置している会社が多いです。機会損失は目に見えないため、「無いもの」として扱われているのだと思うのですが、これは想像力の欠如です。目に見えないものをいかに想像し、対策の手を打っていくかどうかで、会社の未来は変わっていきます。
顧客が求めているのは自前でやっているかどうかというよりも、デザインコンセプトをまとめて形にし、発信していくスキルが、その印刷会社にあるかどうかです。自社内だけでなく、協力会社のスキルも組み合わせて、迅速に顧客のニーズに応えていくことができるか、が問われています。このことをしっかり見つめ直すことが必要です。
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