4フェーズ
印刷会社のマーケティングの仕組みを考える時には次の4つのフェーズに分けて考えると理解しやすいと思います。
4つのフェーズとは、
1.潜在客を集めるフェーズ【集客】
2.潜在客を買う気にさせるフェーズ【モチベート】
3.買う気になった顧客から注文を受ける【販売/契約】
4.何度もリピートしてもらう【ファン化】
です。この4つのフェーズを意識して事業活動をすることで、お客様のやるべきことが明確により成果が出やすくなります。
潜在客を集めるフェーズ【集客】
新規開拓をする場合、リストをどこかから集めてきて、そこに電話したり、あるいはいきなり飛び込み訪問したりして、「印刷物の発注担当者をお願いします」と応対してくれた人に頼みます。
しかし、このやり方ではなかなか上手くいかないのではないでしょうか。知らない会社にいきなり電話をして、ターゲットとする担当者を電話口に出してもらい、訪問のアポイントを取るというのは至難の業です。断られて当たり前なのに、断られる度に人間性まで否定された気分になってしまいます。テレアポという作業はつらく、どうしても敬遠しがちになってしまいます。
また飛込み訪問をしても大抵の場合は受付で断られるか居留守を使われるかで、まず担当者には会えません。にもかかわらず飛込み訪問をしていると「頑張っている感」が営業マンの心の中に芽生えてしまいます。往復2時間かけて成果ゼロでも、「つらいけど頑張った」という心地よい疲労感に満足を覚えてしまうということになります。これは経営者にとっては困ります。
こうならないために、まずはリストアップした潜在客に手紙を事前に書くことをお奨めします。その手紙には、営業担当者の人柄を反映させ、会社の目指すことや、仕事に対する思い、サービスの特長、お客様が得られるメリットなどを書きます。情報提供用の小冊子やパンフレットがあればそれらも同封しましょう。つまりこちらの情報を提供し、相手にどんな会社であるか、どんな人物であるかのを事前に知ってもらうのです。送付後、到着の頃合いを見計らって電話し、アポイントをとります。この方法も万能ではありませんが、いきなり電話をするよりは成功する確率は上がります。会う前にこちらの情報を提供しておくことで、相手の心理的ハードルを少しだけ下げることができるのです。
それでも営業マンに会うということは先方にとっては余分な仕事が増えることに変わりは無いので、乗り気ではない雰囲気をぷんぷん出してくることでしょう。でも私の経験では、電話口では無愛想だった人でも実際に会ってみると好意的に接してくれる場合が圧倒的に多いです。笑顔で明るく挨拶すれば、必ず先方も誠実に対応してくれます。
人間は、メールや電話などではぶっきらぼうな対応をしていたとしても、リアルで顔を合わせれば「和をもってこの場を過ごそう」という意識が働く習性があるのだと思います。先日もこの方法である金融機関にアプローチしたところ、電話では「来ても無駄足になりますよ」と言っていた担当者が、訪問して帰るときには「電話では大変失礼しました。今後とも是非よろしくお願いします」と笑顔でおっしゃってくれました。嘘みたいですが本当の話です。しかも複数回そういうことがありました。
また、インターネットを使った集客として、ホームページにSEO対策(検索結果を上位表示させる施策)を施してアクセスアップを図ったり、クリック保障型の広告(グーグルアドワースやオーバーチュア)を活用したりする方法もあります。集客コストを抑えながら集客できる方法として活用している会社も多いです。もちろん私も活用しています。ただ、せっかくホームページに誘導できたとしても、そこに載せてある情報のレベルが低かったり、量が足りなかったり、読みにくいレイアウトだったりすると、お客さんはすぐに離脱していきます。ですから、情報の質・量に常に気を配り、見やすいものにしておくことは非常に重要です。集客できれば何でもOKというわけではありません。情報の質を上げるためには、常に研究熱心であることが求められます。テーマを決めて社内で情報交換会や勉強会を定期的に行い、そこでの議論をコンテンツにまとめて発信していくのも一つの方法です。
潜在客を買う気にさせるフェーズ【モチベート】
さて、実際にアポが取れて名刺交換した後は、あらためてその方にハガキかメールでお礼を言います。さらにその後も、そのアドレスに定期的に情報を届けます。
印刷会社の営業活動で悩ましいのは、2回目以降の接触の仕方です。1回目は自分の紹介や相手の情報収集などで間が持ちますが、2回、3回と訪問を続けるとだんだんとネタが無くなってきます。その間に良い提案ができたり、お客さんから仕事の話が出てきたりすれば良いのですが、そうならないケースの方が圧倒的に多いでしょう。
ここでしっかり認識してもらいたいのは、我々が目指すところは短期的に成果を上げることのみにあるのではなく、長期的に情報提供し続けて、専門家として認めてもらえる存在になることです。ですから、ネタが無いという理由でせっかく名刺交換できた会社に足が遠のいてしまってはもったいなすぎます。
そうならないために、感情を持った人間が動かずに、紙やメールなどのツールに機械的に動いてもらう発想が重要になります。紙やメールにお客さんが役立つ情報を載せて定期的に届けるのです。できれば月に1度は何らかの情報が届くような仕組みにしたいものです。ちなみに私は月に1回ニュースレターを発行し、重要な見込み客にお届けしています。また暑中お見舞い、年賀状は必須です。特に暑中お見舞いはほとんどの人が出さないので、これをキッチリ行なうだけで差別化できます。
話が少しズレますが、印刷会社こそこういう無くなりつつある日本文化(ハガキを送るという文化)を見直す機運を盛り上げ、自らが頑張って実践して欲しいと思います。「メールやWEBの発達によって印刷物が使われなくなる」と嘆く印刷関係者は多いですが、残念ながらこれらの人たちから暑中お見舞いハガキを1度として受け取ったことはありません。自らが紙の有用性を実証し、顧客へフィードバックしていく姿勢がなければ、なかなか業績は改善しないでしょう。
話しを戻します。こういった紙のツールから、ホームページやブログに顧客を誘導したり、メールマガジンへの登録を促したりして、情報提供を続けることも重要です。また、貴社が得意とする分野(例えば、「効果的なチラシの作り方」とか「良い人材が集まる会社案内の作り方」など)の小冊子を作り、ホームページからダウンロードできるようにしたり、現物を郵送したりするといった方法も有効です。
このように、紙とWEBの両面から情報提供を行い、まだ潜在しているお客さんをあなたの会社に発注したくなるように導くのです。「お願いします!仕事ください!安くしますから!」といくら叫んでも、お客さんは逃げていくばかりです。お客さんにとって役立つ情報とは何かを常に考え、いろいろなツールを使って継続的に提供していくことでジワジワと発注する気にさせていくことが重要です。(その2へ続く)
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