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印刷経営研究所のブログ

2024.03.01

パッケージにして名前をつけて、 価格を明示して、売る

見込型か、受注型か

ビジネスモデルの基本的な型として「見込み生産型」と「受注生産型」があります。見込み生産型は、「こういう商品であれば売れるはず」という判断のもと、あらかじめ需要を予測して生産し、在庫を持ちながら販売する方法です。

一方受注生産型は、顧客からの依頼を受け、仕様と見積金額に合意した上で生産に取り掛かり、出来上がったものを買い取って頂く方法です。

見込み生産型は、在庫を持つためリスクが高い一方で成功すれば高い利益率を実現することができます。自分たちの意思で値付けができるため、利益を得やすい面があります。逆に、受注生産型はリスクは比較的低いものの、発注者が仕様や納期を指定するなど権限が強いため、おのずと低価格化への圧力がかかり、高い利益率は望みにくくなります。印刷会社は受注生産型のビジネスモデルであるがゆえ、この構図に長年苦しめられてきました。

それぞれ長所と短所がありますが、この両者の中間に位置取りする方法もあります。例えば、特定の業界で使用する印刷物や販促物を途中まで作っておき(見込み)、注文が確定してから本製品にまで仕上げるというやり方です。定型のデザインテンプレートを用意しておき、その中から選んでもらうことで、ゼロから作るよりも製作期間もコストも低減することができます。

私のクライアントである印刷会社では、ある業界での実績をもとに、その業界の会社で必要とされる印刷物や販促物のテンプレートを用意し、数量に応じた価格をあらかじめ見える化し、それらを同業界向けパッケージ商品として販売しています。

お客様側は、リストの中から必要な商品と好きなデザインを選び、発注します。印刷会社側は、あらかじめ作ってあるデザインに当該会社のロゴや名称を入れ込んでデザインを仕上げ、完成品として仕上げます。これによって、お客様側は商品を選びやすくなり、かつ、短納期・低価格で購入することができます。

このときに重要なことは「○○パッケージ」「△△セット」のように名前をつけて、価格を明示することです。こうすることで、顧客は選びやすく、買いやすくなります。

お客様を絞り、そのニーズを特定する

これまで印刷会社は、「何か印刷物はありませんか?見積もらせてください」というスタイルで営業をしてきました。この方法だと、安かったら発注してもらえるという単純な思考に終始し、安値競争に自ら身を投げることになります。その時は値を下げて受注することが出来るかもしれませんが、一方で自社も他社から安値攻勢をかけられたとき、同じように仕事を奪われます。こうして印刷業界はレッドオーシャン化してきたわけです。

見込型で自社商品を持ち、それに価格をつけて売ることで、攻めの営業活動をする。これは、印刷会社が生まれ変わるために極めて重要なパラダイムシフトとなります。見込型の自社商品とは、商品の名前があり、仕様や形が見えるようになっており、価格が決まっている商品のことです。自社が販売する商品を「見える化」することは、印刷会社があまりやってこなかったことです。これに取り組むだけでも大きな意味があります。

お客様は商品を「いるか、いらないか」で判断し、いらなければ当然、買ってはくれません。そこで、「どういう商品であれば買ってくれるのか」を考える必要が出てきます。単に安いものではなく、お客様が求めているものや解決したいと思っているものを知らなければなりません。それは、お客様を知ることにつながります。全てのお客様のことを調べ、求めているものや解決したいことを特定することは難しいので、お客様を絞りこみ、そのお客様特有の問題や課題を解決する商品を作るということが、ひとつの重要な方向性になります。

顧客を絞るということは、マーケティングの世界で必ず問われる「あなたの顧客は誰か?」という問いに答えることです。ターゲティングという言い方をする場合もあります。ターゲティングをしっかり行うことで、その顧客特有のニーズやお困りごとなどの「問題」が見えてきます。この問題を自社の強みや商品によって解決する、ということを貴社のビジネスの真ん中に置く必要があります。「顧客の問題解決」から目が離れている会社は、業種業態を問わず、その行く末は危うくなります。

このことは非常に重要なことなので、是非とも、というか絶対に、社内でじっくり検討して頂きたいと思います。

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