コンサル型は、お客様の目標を共有する
お客様から依頼されたことを、ただこなすだけという「下請け型」の仕事の仕方では、この先ジリ貧になっていきます。下請け型ではこちらに主導権がないため、納期も価格もお客様の意向に振り回されます。
こういうことを言うと、「お客様第一主義で何が悪い」と怒られるのですが、お客様を尊重し第一に考えることを否定しているのではありません。お客様ファーストで考えることは大事にしたうえで、お客様の目標を共有し、お客様のビジネス全体にメリットがあるような解決策を主体的に提案していく「コンサル型」に移行して欲しいのです。
コンサル型とは、問題解決型の仕事の仕方です。それも部分的ではなく、全体的な視点を持ってお客様のビジネスを支援していくアプローチがコンサル型の特長です。
例えば、お客様から会社案内のパンフレットを作りたいという依頼があったとします。下請け型のスタイルでは、お客様の意向に沿ってデザインをし、つつがなく印刷・製本し、指定日までに納品することを目指すでしょう。その際には見積もりを取られ、他社と比べられ、高ければ値下げを要求されます。
顧客の戦略を共有するコンサル型
一方、コンサル型だとどうでしょうか。
コンサル型の印刷会社がお客様からリクルート用の会社案内の仕事を打診された場合、まずその会社の経営戦略や人事戦略まで遡って考えることから始めます。
この会社はどんな人材を求めているのか。どういうスキルやどういう考え方を持っている人材が活躍しているのか。その前提となる、この会社の経営戦略とはどんなものか。どういう顧客にどんな商品を売っているのか。これらのことを理解することがとても重要になります。
お客様が目指す目標を共有し、その実現のために「自分ごと」として動くのがコンサル型印刷会社のあり方です。
そうなると、経営戦略やそれに基づく人材戦略に沿った形の会社案内であることが必要になります。ＷＥＢサイトも、会社の方向性や強みはもちろん、求める人材に響くようなヴィジュアルや言葉を使い、戦略を具体化するものになっていなければなりません。
また、応募者を募集するためのセミナーや会社説明会の開催やその内容についても関わり合いが出てきます。
また、その時に使う説明資料や動画などのコンテンツ制作も、経営戦略に基づいたものにチューニングしていく必要があります。さらに言えば、会社説明会で社長や人事担当者が学生に向けて話す内容にまで入り込んでいくことも考えられます。
問題解決の前に問題発見
問題解決を提供するためには、まず問題を発見しなければなりません。
お客様の方から解決すべき問題を提示してくれれば話は早いのですが、そういうケースは稀です。そもそもお客様自身が、自分たちに問題に気づいてないということはよくあります。
ここで、「では問題とはそもそも何か？」ということになりますが、問題とは「目標や理想」と現状とのギャップです。このギャップを埋めることが問題解決ということになります。ですから、全顧客共通の「問題」などなく、それぞれの会社の目標と現状との間において、その顧客固有の問題があるわけです。
となると、顧客企業の目標は何か？あるいは理想とする姿はどんなものか？ということを知らなければなりません。あわせて、現状はどうなんだ？ということも知る必要があります。これらを知ったうえで初めて、その両者のギャップを埋めるための方法（＝問題解決）を提案することができます。それこそが仕事を生み出す源（みなもと）となります。
この問題発見力と問題解決力を鍛えるために一番良いのは、自社の問題を発見し、その解決策を練り、実行することです。自社を題材に、能力を高め、ノウハウを蓄積するのです。
そのためには、自社の目標や理想（ビジョン）を定めないことには始まりません。まずは、自社の目標と理想（ビジョン）を定め、問題を発見することから取り組んでみてください。このプロセスを経て得た経験は、今後の営業活動にとても役立つものになるはずです。
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